香川県内企業・財団の取組

生み出しているのはこれまでなかった“未来機械”人々の助けとなるロボットで社会の課題を解決する(株式会社 未来機械)

香川県内の元気な企業を訪問し、その企業が発展してきた過程と躍進を続ける今、そして未来への指針についてお聞きする「かがわ発!元気創出企業」。今回は、高松市にある「株式会社 未来機械」を訪ねました。

未来の課題をロボットテクノロジーで解決することを目指す香川大学発ベンチャー企業として、代表取締役社長の三宅徹さんが2004年、大学在学中に設立した未来機械。移動ロボット市場の創出を目的としてスタートして以来、主に太陽光パネル清掃ロボットを中心として、開発・製造・販売を行ってきた。これまで世界で初めて水を使用しない自律式清掃ロボットを開発するなど、海外市場での実績を積み重ね、世界中で注目されてきた同社だが、近年では国内向け、新たな分野でも開発・販売を行うように。常に先を見据え、まさに未来の機械を生み出し続ける同社の今後の展開について、三宅社長を取材した。

国内向けのソーラーパネル清掃ロボット。中東地域においては、ソーラーパネルの砂塵汚れの有無により1か月間で約15%も出力量が変わるという

2020年からはドバイの発電所で61台の清掃ロボットが稼働

同社は、創業以来、縁の下の力持ちとして、人々の生活や社会を支えるロボットを開発してきた。「我々が手がけているのは、人ができない作業や苦手とする作業、または危険でやるべきではない作業を代わりに行うロボットです。そういった作業こそが、ロボット化をする必要があると考えています」と三宅さんは言う。同社が開発・販売する太陽光発電のソーラパネル清掃用のロボットの多くが、中東向けのロボットである。
2020年4月には、ドバイに建設された大規模発電所の運用開始に合わせ、ソーラーパネル用のロボットを61台設置した。砂漠の中に建つ発電所の広さは東京ドーム約140個分。最大出力400メガワット、10万軒ほどに電気を届けることができる。だが、雨がほとんど降らず、砂が巻き上がり、温度・湿度の高い砂漠。パネルはすぐに真っ白になる。機械であるロボットも壊れやすい環境だ。「砂漠のロボットというのは、動き続けることが大切なんです。過酷な環境で使い続けることできるロボットを開発して、製造できるのは、我々の強みですね」と三宅さん。過酷な環境下において動き続ける同社の清掃ロボットは、今やこの発電所にとって、なくてはならない存在となっている。

未来機械のロボットが稼働するドバイの「ムハンマド・ビン・ラーシド・アル・マクトゥーム・ソーラーパーク(MBRソーラーパーク)。発電所では、同社が手がけた61台の清掃ロボットが1台につき夜間の8時間、毎日稼働。運用開始から3年が経過し、稼働時間は1台あたり4000時間を超えた

砂漠で培ってきた知見を活かし屋外環境で役立つロボットを開発

海外向けの開発・製造販売がほとんどだったという同社だが、最近では国内需要も増えてきたという。国内でも再生可能エネルギーの普及が進むにつれ、中東での実績に注目し国内用の清掃ロボットもぜひ、という依頼に応え、国内向けの清掃ロボットを製品化。「中東と違って、国内市場はそんなに清掃の需要度がないだろうと思っていましたが、場所によっては非常に汚れやすい。そういった場所は、これまで手作業で洗浄されていたんです」。中東向けに水を使わずにキレイに清掃するロボットを開発してきたが、日本の場合は雨でもキレイにならないようなこびりついた汚れの清掃がメイン。そこで水を使ってキレイに洗浄できるものへと改良した。
また、過酷な屋外で動き続けることができるのであれば埃にも強いはず、と、建設現場での作業ロボットの依頼もあるという。今後は、建設分野で活躍できるロボットをラインナップする予定だという、また、同じく環境が厳しい畜産分野でも開発が望まれているそうだ。「担い手が減り省力化が必要な分野も多い。DX化を考えるスタートアップとコラボレーションするなど、外部とコラボレーションしながら事業を進めていければ」と三宅さんは語る。

20代から70代までの人材を登用 未来のために試行錯誤し続ける

「ロボット技術は、機械やソフト、センサーをうまく組み合わせて、目的にかなう働きをしてくれるもの生み出すことが重要。その中でも我々は、まだ誰も見たことがない新しいロボットをつくることを得意としています」と微笑む三宅さん。その理由を「まずは必ず現場に行き“作業をデザイン”するからです。現状を把握した上で、どう自動化をしていけばいいかを現場で確認します」。機械が得意な部分を機械化しつつも、人が関わる方が効率的な部分は残しながら最適な機械をデザインしていく。それができるのは、未来機械というチームだからだ。
大学院を出たばかりの新卒の研究者から60代以上70代までのベテラン技術者までの幅広い人材を有する同社。経験を持った人材と新しいソフトウェアや制御を知る人材、両方が新しいロボットを生み出すのには欠かせないと三宅さんはいう。理念に共感してくれさえすれば人種も年齢も問わないという姿勢が、優秀なエンジニアが集まる理由だ。「ここまでAI が進化した現在でも、新しいハードウエアをつくるのは人間が試行錯誤しなきゃいけない領域です」。これまでにない“未来の機械”をつくるために、彼らは今日もまた、現場に出向き、アイデアを出し、手を動かし続ける。

ゼロからモノづくりをしたいというマインドの人材が、全国はもちろん、海外からも集まっている
代表取締役社長 三宅 徹 氏

株式会社 未来機械

会社概要

所在地 高松市上林町584-1
電話 087-816-5112
URL https://miraikikai.jp/