香川県内企業・財団の取組

香川県産にんにくの知名度アップを目指し使いやすく買いたくなる「にんにく商品」を展開(白川農場株式会社)

香川県内の元気な企業を訪問し、その企業が発展してきた過程と躍進を続ける今、そして未来への指針についてお聞きする「かがわ発!元気創出企業」。今回は、三豊市にある「白川農場株式会社」を訪ねました。

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一玉ずつ40日間じっくり熟成させた「甘熟黒にんにく」。無加水でニンニクの水分のみを使うため甘みがギュッと凝縮される(現在は品切れ中・オンラインショップでは8月より再販予定)

周囲を小高い山々に囲まれた高瀬町麻地区は、朝夕の寒暖差を活かして昔から農業の盛んな集落。曾祖父の代から農業をはじめ、祖父の代までは柑橘類やたけのこ農家だったものの、父の代には自分たちで食べる分だけをつくるようになったという。その農業に再度、生業として取り組んだのが白川農場株式会社(旧・株式会社三豊エコファーム)。2006年(平成18年)からにんにく栽培に取り組み、さまざまな6次産業化商品を生み出している。栽培から加工、販売まで一貫して展開をする同社の取り組みについて白川大輔社長にお話を伺った。

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にんにく畑の様子。自家製堆肥を用いて合計で5ヘクタールの農地で栽培
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6次産業化商品開発に手探りでチャレンジ

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香川県のにんにくは暖地系の品種。青森県をはじめ寒い地域で栽培される寒地系のものよりも、味わいが濃く香りが高いのが特徴

白川さんが、遊休農地を活用して野菜栽培などを行っていた株式会社三豊エコファーム(白川農場の旧社名)の代表として事業を担ったのは24歳の頃。当時はブロッコリーや玉ねぎの栽培が中心だったそうだが、農業に専業で取り組むのであれば、さらに特色のある野菜づくりをする必要がある。そこで注目したのが、青森県に次いで全国第2位の生産量を誇るにんにくだった。「JAや普及センターの指導のもとで栽培を始めたんですが、農業の経験もなく、技術力も足りないので、なかなか綺麗な形のにんにくができなかったんです」と白川さん。そこで加工用として県外で黒にんにくを製造する会社へとJAを通じて出荷していた。

6次産業化のきっかけが訪れたのは、取引が始まり2年ほど経った頃。出荷先であり、黒にんにく発祥の地といわれる三重県の会社を視察した白川さんに「産地で黒にんにくの製造に取り組まれたらどうですか?と専務さんがノウハウを教えてくださった」という。香川県に戻ってすぐに事業計画をつくり、設備の補助金を申請し、にんにくを熟成する機械を導入。「資金的にも全く余裕がなかったので補助金を使わせてもらいながら、加工をしてみて、とりあえずできたから次は販売!という感じで、手探りでスタートしたんです」。

女性スタッフの感性で「売れる」パッケージに

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当時、白川さんは20代。農業に飛び込んだばかりで、まだできあがった商品もなければ、決まった販売ルートもなかった。「今思えば、そういう状況だったからこそチャレンジできたのかもしれないですね」と白川さんは当時を振り返る。

栽培から加工、販売まで一環で行うことを決め、試行錯誤の末にできあがった商品には「マーケティングも何もなく、ただただデザイナーさんと僕が盛り上がって、とにかく目立とうと(笑)」《さぬきのバカヂカラ》と名付けた。だが、黒にんにく自体に知名度がなかったこともあり、全く売れない時期が続く。「最初の頃は、製造ノウハウも少なく、よく失敗しました。売り物にならず廃棄したことも」。その後、少しずつ黒にんにくの知名度とともに品質も向上しリピーターも増えた。

黒にんにくをさらに広めていくには、インパクトだけでは通用しないと、数年前からは誰もが手に取りやすく、ギフトとしても使いたくなるパッケージへ変更。欲しい人に届くキャッチコピーも付加した。「パッケージに関しては意見を言わず、うちの妻と女性スタッフにお任せすることにしました」。開発についても白川さんが次々出すアイデアを女性陣がジャッジ。「没商品もいっぱいあるんですよ」と苦笑いする。

香川県産にんにくをさらにPRするために

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「地域資源ブランド化・販路拡大支援事業」の助成金を活用し開発した「乾燥にんにくチップ」を今年3月から販売スタートした。乾燥のままでトッピングなどに使えるほか、水で戻すだけで生にんにく代わりにも

一貫して栽培から加工、販売まで行うにはエネルギーが必要な上、さまざまなコストもかかるが、「香川県がにんにくの産地だということも広めるためにもヒット商品をつくりたい」という白川さん。にんにく産地としての香川県の知名度を上げたいというのも、さまざまな商品を開発し続ける理由だという。直近の新製品「乾燥チップ」は、常温で長期保存でき、乾燥のままパウダー状にしたりクラッシュしたりして使うだけでなく、水で戻して生のにんにくの代わりにも使える手軽さがウリ。「丸ごと買っても使い切らないとかニオイが気になるとか、そういう声に応えて、できるだけ使いやすくすることで香川県産にんにくの存在を知ってもらえれば」と力を込める。

現在は、黒にんにくを愛用してくださっているお客様の平均年齢は60代以上。40代、50代ににんにく商品を提案していくことも、これからの課題だ。「直接販売することで、お客さんの声が聞けるので商品の改良にも早く取り組めますし、今後は直販でもっと広めていきたいですね」。ゴールデンウィーク前には直売所と加工場を移転。より立ち寄りやすくなる。いずれは飲食スペースも設けたいという白川さん。香川県産にんにくを広めるアイコンとして今後の展開が楽しみだ。

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代表取締役 白川大輔 氏

白川農場株式会社

会社概要

所在地 三豊市高瀬町上麻3894
電話 0120-372-229
URL https://www.shirakawa-garlic.com/