ITをベースとしたソフトウェア開発を行う「ケイ・タス株式会社」。2007年(平成19年)の創業以来、「人と人をつなぎともに成長し続け社会に貢献する」という経営理念のもと、主に全国の義肢装具企業・労災病院向けに、患者管理パッケージの企画・開発・販売・サポートを一貫して行ってきた。義肢装具業界が抱える業務課題を解決するため、常に業界の動向に注意を払い、些細な変化にも対応してニーズを先取りしてきた同社のこれまでの取組と今後の展開について、代表取締役・北野光邦さんにお話を伺った。
義肢装具業界で働く方をシステム開発でサポート
今年創業18年を迎えたケイ・タス株式会社では、創業以来、義肢装具業界の課題解決に向け、義肢装具士を支援するためのシステムパッケージを展開している。 義肢装具士とは、義肢や装具を提供する役割を持つ専門家。医師の指示の下で、患者さんが義肢装具をつける部位を計測し、義足やコルセットなどの義肢装具を製作、患者さんの身体に合わせて調整を行うなど、一人ひとりの状態に合わせて義肢装具を製作する必要がある。病院の整形外科やリハビリテーション科には欠かせない存在であり、障害を持つ人のスポーツやレクリエーションのサポートも行う。
国内には、個人・法人合わせて全国に約1000の義肢装具事業者があるが「病院巡回に行って、病院に行けない場合は家にも訪問して、患者さんを診る。さらに厚労省の認可した部品をもとに装具を製作してと、かなりハードな仕事です。保険適用のために厚労省指定の書類を提出するなどの事務作業も多いんです」と北野さんはいう。高齢化社会に伴い、コルセットやインソールを必要とする人も増えている現在。義肢装具業界における課題を知り、少しでも作業効率化の一助になるようにと開発したのが、患者さんのデータ管理に加え見積書や領収書などの帳票発行などを行う「O2Lite(オーツーライト)」だった。
ニッチな業界を熟知し専門性を活かした提案を
北野さんが義肢装具業界に特化したシステム開発に着手したのはシステム開発を手がける企業に勤務していた頃。義肢装具業界の専門家と出会い、業界が抱えている悩みを共有したことがきっかけだという。当初は会社の事業として自身が開発から販売まで一手に担当していたシステムを、独立起業するに当たって独立後も引き継いだ。「義肢装具業界は事業者の総数が約1000というニッチな業界。大手が参入しにくい背景もあって、この業界のシステムを手がけているのは日本で3社だけなんです」と話す。
現在は深い専門性に基づくサポート力を強みとするケイ・タスだが、「前職から数えると約23年も業界に携わっていますが、最初の1 0 年はわけがわからないままでした」と北野さんは笑う。「O2Lite」は、現場に行って怒られながらどうすれば使いやすくなるか試行錯誤してつくったパッケージ。厚労省のルールが変わるたびにバージョンアップしていきました」。作業の大半が手作業という現場の状況を改善したいと、5年前には、「O2Lite」と連携できるiPadなどのタブレットを活用したデータ共有システム「PO +(ぽぷら)」を開発。現場や病院での情報連携をスムーズにし、業務負担を大幅に削減する役割を果たした。
クラウド上で管理できる次世代型システムを開発
ケイ・タスでは現在、今年(2025年)リリースの新製品開発に取り組んでいる。それが次世代クラウド版「O2next(オーツーネクスト)」だ。コロナ禍でのリモートデータ送信ニーズの高まりに応え、クラウド上にデータを保存するサブスクリプション型サービスとして提供。「クラウド版の導入により個人事業者も利用しやすくなれば」と話す。さらに、また新たに、義肢装具士の手間を軽減するために連動させるのが医療用インソールの製作代行「EVAサービス」。EVAというスポンジのブロックを用い、足型データを切削機で削り出すサービスで、「最終調整の手前までを我々がお手伝いすることで義肢装具士業務のサポートができればと思っているんです」。
創業以来、業界の特有ニーズに応え、ユーザーとともに課題を解決するシステムを提供してきたケイ・タス。全国津々浦々のクライアント先を飛び回り、実際に悩みを耳にしてきたからこそ、大変な業務を少しでもサポートしたいという思いで走り続けてきた。「クラウド管理ではなく社内サーバーで管理したいというお声もあります。「O2next」の次は別のO2シリーズに着手しないといけません」と微笑む北野さん。業界のDX化と新しい業務スタイルの実現にこれからも貢献し続ける。
ケイ・タス 株式会社
北野 光邦 氏
会社概要
所在地 |
高松市林町2217-15 香川産業頭脳化センタービル302 |
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電話 | 087-813-5222 |
URL | https://www.ktus.jp/ |
従業員数 | 10名 |