香川県内企業・財団の取組

「おいしい!」で広がる笑顔の輪。お客様と社員に笑顔をもたらすため未来を見据え、本物のおいしさを追求。(サヌキ畜産フーズ株式会社)

現社長の祖父がスタートさせた養豚業を拡大する形で、1981年に高度加工施設事業として「サヌキ畜産加工協同組合」を設立。2010年に株式会社に組織変更した「サヌキ畜産フーズ株式会社」。“すべては、「本物のおいしさ」がもたらす「人々の笑顔」を創造するために~笑顔創造業~”を事業ビジョンとして掲げ、「本物のおいしさ」を追求してきた。コロナ禍で苦境に立たされた時期も、常に未来を見つめて前進を続け、新商品開発と新規開拓に力を入れてきた同社。社員の意識を高める取り組みや新たなニーズを踏まえた商品について、増田社長にお話しを伺った。

お客様はもちろん社員の笑顔も創造する

 本物のおいしさを大切にした冷凍カツ類など肉加工・冷凍食品を製造・全国販売するとともに、地元香川では精肉販売を展開し、関東では飲食店を4店舗構える同社。養豚、食肉加工を手掛ける祖父や父の姿を見て育った増田社長は、1998年に入社。2010年に事業継承し、社長に就任して「本物のおいしさ」を追求し続けている。

「事業内容としては、食肉加工業と製造販売業ですが、実際は「笑顔創造業」なんだと社員には伝えています。生活になくてはならない食に携わるものとして、本物のおいしさを追求することで笑顔と感動を広めていきたい」と増田社長。『従業員が笑顔で働くことができ、生きがいを持って幸せになると共に、我社に関わる全て皆様の笑顔と食生活の提供を通じて、広く社会に貢献する』という経営理念にも、増田社長の思いが込められている。そして、この経営理念を実現するため、事業年度ごとに全社と各部署の方針を立て、各部署からも経営目標を出してもらう。経営方針や経営目標は、全社員が目にするところに業績とともに掲示している。「業績が良ければ賞与が増え、悪ければ賞与が減る。透明にすることで、社員も納得して仕事ができると思うんです」と話す。

工場1
作業の様子
工場2

本社工場は、月産製造能力1,000トンを誇る高度食肉加工工場。常に製造ラインの進化に挑戦し、最先端設備を導入しながら、安心安全な品質と製造量、加工技術における「日本一」を目指す。

社員一人ひとりの成長を促す企業姿勢こそが笑顔の源

 社長就任以来、12年にわたって続けているのが「5S活動」。「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」の頭文字をとった職場環境を改善するための取り組みで、各部署に毎月改善案を提出するように指示した。それとともに、数年前から始めたのが、社員全員に今期の目標を立ててもらい、期末前に結果を報告してもらうという取り組みだ。「最初は何を書けばいいのかわからないので、「〇〇を頑張る」というような漠然とした目標でした。ですが、それでは相対的な評価ができないことに各自が気づいて、最近では具体的な数字を示すようになってきた」と目を細める。目標を達成できたかどうかを評価するのは自分自身だという。「自分のことは自分にしかわからない。だから自分で評価してもらいます。他人軸ではなく自分軸で出した評価をもとにコミュニケーションをとるのが上司の役目」と増田社長。全員分を通路に掲示していることもあって、明らかに意識の高まりを感じるという。「学生時代は周りの環境が成長させてくれますが、大人になると自分で考えなければ成長しない」。自発的に考え動くという習慣は、営業活動においても、現場での作業においても、有効なものになっているそうだ。

▲毎日食べるものだからこそ、安心して食べられることも大切。味はもちろん安全安心にも徹底して配慮し、本物のおいしさを追求する。

時代に合わせた商品開発とたゆまぬ努力で常に前進を

 さまざまな取り組みで人材育成を行うとともに、新たな商品開発にも力を入れてきた同社。外食産業への納入が多く、飲食店も傘下に持つ同社は、新型コロナウイルスの影響を少なからず受けたと言うが「ジッとしてられない性分ですので(笑)ここが底だと思いながら、できることをやり続けたんです。それが今、少しずつ結果になって戻ってきている気がします」と笑う。

 現在、注力しているのがノンミート(大豆などを使った代替肉)による冷凍カツの開発だ。きっかけは、2019年の秋に出張先のアメリカで出会ったノンミートを使ったハンバーガー。「肉でないことが全くわからない。それに衝撃を受けたんです」。近年、環境負荷の面からノンミートを選択する人が世界的に増えてきた。「いずれは選択肢のひとつになっていくはずです。その時に代替カツの提供ができれば」と本物のおいしさを追求したノンミートの開発を行う。同時期には、カフェなどフライヤーのない店舗に注目し、グリルや鉄板で調理して提供できる冷凍カツの開発もスタート。こちらはすでに、牛丼の大手チェーン店への納入が決まっているという。

 これまでも常に一歩先の未来を見つめてきた同社。すでに先を見据えて、前進を続けていく。

サヌキ畜産フーズ株式会社(会社概要)

所在地 三豊市詫間町詫間2112-140
電話 0875-83-6262
ホームページ https://meatpia-sanuki.com/
資本金 90,000千円