デザイン性を重視した高級感のある把手を目指して
松浦産業(株)は、ビールや菓子用のプラスティック容器・紙袋に付帯する手提げ袋用把手の全国トップシェアを誇っている。しかし、同社の業界では、中国などの海外製で付加価値の低い、安価で大量生産が可能な製品に受注が流出していた。
このようななか、ユーザーから「高級感がある小物袋用把手を開発して欲しい」との依頼があったことから、当社の強みである成形技術をいかして、従来の紙袋用把手「ハッピータッグ」を小型化した把手を提案したが、ユーザーからは思うような反応を得ることはできなかった。
そこで、従来の両側2本タイプの袋閉じの技術、成形技術や機能はいかしたまま、1本の形状で、袋を閉じた際には円(サークル)になるようなデザイン性を重視した把手「ハッピーサークル」の開発に乗り出すこととなった。
30cmのひもに凝縮された微妙な工夫の数々
新たな成形品をデザインすることになり、著名なデザイナーに考案を依頼したところ、シンプルな円形で優れた形状での提案を受けたが、実際に成形するとなると一筋縄ではいかなかった。成形するにあたって、まず金型が必要であるが、従来の2本把手タイプの「ハッピータッグ」ならば、金型は直線でよかったが、「ハッピーサークル」の場合、きれいな輪(真円)を描くためには、把手となる30cm程度のひもに微妙なカーブを加えるほか、プラスティックの厚みや強度を工夫する必要があった。
最初に試作した金型では、真円を描けず、楕円形で餅のような形状になってしまい、さらに強度にも問題があった。そこで、肉厚を微妙に調整して、カーブの形状を変化させるなど、合計5回におよぶ試作を行った結果、みごとに真円を描いた量産可能で高級感のある独創的な把手を完成させることができた。
完成した「ハッピーサークル」は、見た目も美しいと同時に、従来の両側2本タイプと同様のストッパー機能も継続して備え付けることができた。また、通常1袋あた2本必要であったひもの本数を減らすことが可能となったため、袋の製造コストを抑制することにもつながる大きなメリットもあった。
また、今回開発した「ハッピーサークル」は、製品化に至るまでに多くの時間と費用を要したことから、容易な模倣品による被害を防ぐため、意匠登録を行い、市場展開を進めている。
100万本の販売を目指して
量産型の金型成形に成功したことから、平成27年11月から販路を開始している。クリスマスやバレンタイン、ホワイトデーや母の日などの各種イベントのほか、婚礼のプチギフトなどでも活躍が期待されており、「ハッピーサークル」の販売目標は、平成28年で50万本、平成29年には100万本を目指している。
単に便利というのではなく、贈る側の特別な思いを感じさせてくれるプレミアム把手「ハッピーサークル」は、小さな輪であるが、幸せの輪を大きく広げてくれそうなプレゼントになりそうだ。
新商品にかける熱き想い!!
「ハッピーサークル」は、従来できなかったことを可能にした自信の把手。高級感を出したいなど差別化を図りたいときに最適です。
新たなニーズを開拓する、まさに手がかりとなります。
松浦産業株式会社
会社概要
所在地 | 善通寺市上吉田町270-1 |
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電話 | 0877-62-2555 |
URL | http://www.matsuura-sangyo.co.jp/home.html |
従業員数 | 43名 |
資本金 | 8,000万円 |
採択年度 | 平成27年度 |