自社ブランド「CURLY」を世界に通用させるために挑戦
香川県東讃地域では、手袋製造が約120年前に始まったが、長年培った高い手袋縫製技術を駆使したバックや衣料品といった縫製業も活発である。しかし、これらの業界では、大手アパレルなどがコスト削減を追求した結果、海外生産が主流となっており、技術者の高齢化による業界の低迷が問題となっていた。一方で、市場を見渡すと、価格は高くても高品質で安心できるものを求める消費者も増えている。
このようななか、(有)川北縫製では、手袋工場からTシャツなどのカットソー専門の縫製工場に転換して、現在ではOEM生産から自社ブランド開発まで行っている。同社では、高品質で安心さを求める消費者をターゲットにした国内縫製スウェット「CURLY」を自社ブランドとして立ち上げ、東京都南青山の自社店舗や三越伊勢丹の催事などで販売しており、パーカーなどが高い評価を得ている。
しかし、最近のニーズを踏まえて、バイヤーからは「さらに高品質が備った『超高級スウェット』を開発することはできないだろうか」と持ちかけられた。そこで、素材をゼロから見直して、より付加価値の高い超高級スウェットの開発に取り組み、自社ブランド「CURLY」を世界に通用するまで昇華させることを目指した。
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デザイン性、機能性、着心地などを求めて試行錯誤
『超高級スウェット』の実現に向けて、素材には現行の綿100%よりもさらに優れた着心地や肌触り、機能性を求めて、最高級の綿(スビン)に高品質なカシミアを配合することとした。この素材をベースに、糸9種類、生地12種類を組み合わせる試行錯誤を繰り返した。
特に、スウェットの表面と内面、および裏面でそれぞれスビンとカシミアの配合比率を変えて、デザイン性、機能性、着心地などの目的に応じた工夫を施して、ようやく『超高級スウェット』が完成した。
また、試作開発と並行して、東京都や大阪府において独自の展示会を開催して、『超高級スウェット』のPRなどを行ったところ、110名の来場があり手応えを感じた。さらに、ブランドイメージを重視したパンフレットや動画の作成を行い、販売促進に努めたところ、直ぐにセレクトショップ数店から発注があり、上々の滑り出しとなった。
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地方の中小企業の頑張りで日本を元気にしたい
(有)川北縫製の代表者の川北氏は、「糸は高級であれば良いというわけでなく、工夫によって安価な糸でも、面白い風合いや心地よい肌触りを生み出すことが可能です。今後も、『CURLY』ならではのオリジナルを追求して、海外展開も行いたいです」と展望を語ってくれた。
さらに、続けて、「自社ブランドの立ち上げを成功させることで、地方の中小企業でも、頑張ればやれることを示して、少しでも日本の元気につながればと願っています」と熱い思いも語ってくれた。
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新商品にかける熱き想い!
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手にした人が喜びや感動を感じ、そこに特別な価値観が生まれ、次の商品を心待ちにさせる。これこそが、ブランドの確立だと考えています。
海外に向けて発信し、日本のモノづくりを再認識してもらいたいです。
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有限会社川北縫製
会社概要
所在地 | さぬき市大川町田面98-2 |
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電話 | 0879-43-3224 |
URL | http://www.kawakitahousei.jp |
従業員数 | 18名 |
資本金 | 300万円 |
採択年度 | 平成27年度 |