オリーブの果実とオイルを生かした高級チョコレートの誕生
オリーブの持つ栄養面や美容面などでのさまざまな機能が、最近改めて注目されている。
こうした中、100年を超える歴史を持つ小豆島産オリーブの果実とオイルを使い、フランス産のホワイトチョコレートでコーティングした新感覚スイーツが誕生した。その名も[オリーブショコラ]。
開発したのは小豆島町の(株)高尾農園。島内で3,000本ものオリーブを栽培し、こだわりの製法で塩水漬けやオイルなどを生産している。
[オリーブショコラ]は、塩水漬けされたオリーブ果実の種を除いた部分にホワイトチョコレートを充填、さらにそれをホワイトチョコレートでコーティングした「3層タイプ」と、果実を細かく砕いてホワイトチョコレートでコーティングした「2層タイプ」の2種類。
本格的な生産はこれからであるが、すでに多くの引き合いが寄せられている。
「オリーブ+ホワイトチョコ」のおいしさを商品にして伝えたい
同社のオリーブ塩水漬けは、オリーブ本来の味を楽しめる商品として人気があるが、傷物の場合、見た目が悪いだけで安値で取引されてしまうことが課題となっていた。
スイーツなどでの有効利用を考えていた同社の髙尾社長は、これまで果実を丸ごと使った商品が無かったことに着目。
さらに、オリーブオイルとホワイトチョコレートの相性が良いことを文献で目にする。
そこで、これまでのノウハウを生かして、オリジナルのチョコレートづくりに取り組んでみようと考えた。
求評モニター会での意見が問題解決のヒントに
スイーツづくりの経験が乏しいなか、開発は試行錯誤の連続。「オリーブの品種やチョコレートの選定から大変でした」と髙尾社長。
オリーブは数ある品種の中で、形状や大きさなどから「ミッション種」を選定。チョコレートは国内外から10種類以上を集めて試作した結果、フランス産のヴェローナ社のホワイトチョコレートに決定した。
ホワイトチョコレートとオリーブオイルの配合割合も、オリーブの香りや風味が最適になるように専門家の指導の下、何度も試作を重ねた。
ようやく商品化の目処が立った頃、思いも寄らなかった問題にぶち当たる。
最初に開発に取り組んだ「3層タイプ」は、しばらく放置しておくと果実から水分がにじみだし、コーティングしていたホワイトチョコレートが剥がれるという問題が生じたのだ。
県産業技術センターなどにも相談し、果実を冷風・熱乾燥したり、コーティング時に寒天やゼラチンを加えるなど、さまざまな方法で改善を試みた。
こうした中、かがわ産業支援財団にて、県内企業で現在開発中の食品について、商品づくりに消費者の意見を取り入れようと「求評モニター会」が開催される。
同社も試作品を出品したところ、参加者から「果実を丸ごと使うのではなく、細かく砕いてコーティングしてはどうか」というアドバイスを受ける。
早速、試作したところ、水分がにじみ出ることもなく、形状や大きさも均一なものが出来上がった。これが現在の2層タイプにつながっている。
その後もコツコツと開発を進めた結果、関係者からの味や食感の評価も上々で、その後の賞味期限試験や細菌試験などもクリア。構想から約3年、ようやく商品化にこぎつけた。
飲食店、百貨店、エンドユーザーなど需要のあるところに販路開拓
同社では[オリーブショコラ]を全国の飲食店や百貨店など、さまざまな販路で売り込んでいきたいと考えている。
「小豆島のオリーブを使った新しいスイーツとして、じっくりと[オリーブショコラ]ファンを増やしたいです」と髙尾社長。
「今後はチョコレートの種類を増やして、四季折々の商品展開を図るなど、商品のバリエーションを増やしていきたいですね」と夢は膨らんでいる。
新商品にかける熱き想い
数年前から考えていた商品[オリーブショコラ]が、やっと完成しました。小豆島産オリーブで作った全国に自慢できる商品だと思っています。オリーブ好きの人に喜んでもらえるとうれしいですね。これからも、商品開発のため、研究は続けていきますよ!
株式会社高尾農園
会社概要
所在地 | 小豆郡小豆島町安田甲143-64 |
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電話 | 050-3673-9320 |
URL | https://www.takao-olives.com |
従業員数 | 2名 |
資本金 | 30,000千円 |
採択年度 | 平成25年度 |