国分寺産あんずを使用したジャムやスイーツが大人気
”アプリコット”として知られるあんずは、甘酸っぱい食味が老若男女を問わず人気で、ジャムやスイーツなどに利用されている。国内で消費されるあんずの多くは海外からの輸入品で、国産品はごくわずかで希少性が高い。そんな中で、今、香川県高松市の国分寺地域で生産されるあんずを使ったスイーツが話題となっている。
あんずを生産するのは「讃岐国分寺あんず事業振興会」、そのあんずを使ったスイーツを開発販売しているのが高松市内の菓子店「パティスリー・スミダ」だ。国分寺産あんずを使った「さぬき国分寺天平シリーズ」の焼き菓子は、お土産品として高い人気を誇っている。
休耕地を利用してあんずで町おこし
休耕農地に悩む農家や地域は少なくなく、同地区でも同様の課題を抱えていた。
「先祖から受け継いだ農地を維持するために何かしなければいけないと長年悩んでいました。そこで、目を付けたのがあんずでした」(同振興会 千田氏、森川氏、竹本氏)。地元の史跡”国分寺”が建立されたのは奈良時代。その頃にあんずが中国から日本へ伝えられたことが発案につながった。「あんずで町おこし」という名目のもと、苗木を植え始めたのが平成20年、これを機に振興会を立ち上げた。「当時、あんずの栽培を経験した会員はいませんでした。最初は、花や実が楽しめれば、それでいい。その程度の気持ちでした」(振興会)。ところが、あんずの先進県である長野県を視察したことで、会員の意識が変わり始めた。土作りや栽培管理等に力を入れはじめ、あんずで地域農業を活性化したい、産地化していこうという機運がしだいに高まっていった。
通年販売ができる加工品の開発がポイント
あんずは、6月に収穫期を迎えるがその期間は約1ヶ月間と短く、完熟した果実は傷みやすい。成園化に伴って収穫量が増えてくると、生食用の販売だけに頼っていくことには限界があった。そこで、振興会の立ち上げ時から協力関係にあった「パティスリー・スミダ」と連携し、年間を通じて販売ができるあんずを使った菓子類の開発に取り組んだ。
まずは菓子類の原材料として、長期保存が可能で、なおかつ取り扱いが容易なジャムやピューレ、ペーストにする一次加工から取り組みは始まった。
そして、「さぬき国分寺天平シリーズ」の最初の商品となった”さくさくゴーフレット”が完成。あんずペースト入りのクリームを県産米粉のゴーフルではさんだお菓子は、たちまち評判に。続いてマカロン、マドレーヌ、ダックワースなど次々と新しい商品が誕生した。
開発した商品をPRするために、農商工連携事業を活用して、販促用資材を充実させ、かがわ物産館「栗林庵」で販売促進フェアを開催したり、地元のイベント等に参加した。「かがわ産業支援財団の後押しがあったので信用度は高く、おかげで販路の拡大はうまくいっています」と住田氏。香川県で誕生したあんずの加工品の認知度はますます上がり、販売は好調のようだ。
古くて新しい果実「あんず」を産地化、新たな地域の資源に!スイーツ以外の商品開発にも積極的
あんずは、スイーツに限らず調味料やソース、ドレッシング、リキュール、漬物など幅広く活用ができる果実である。
「あんずの可能性はまだまだ広がると思います。これからも試行錯誤を重ねて新しい商品を開発していきたいです」と住田氏。一方の振興会は「あんずが足りなくなってきたので、栽培面積を増やしていきます。今後は加工用だけではなく、生食用果実の販売先も積極的に開拓していきたいと考えています」と意気盛んだ。香川県を”あんずの里”にしたい。あんずを新たな地域資源に育て上げ、全国に発信していきたい。あんずを愛する者たちの意欲は、まだまだ尽きない。
新商品にかける熱き想い
将来は、独自であんずの品種改良を行って、オリジナル品種を作り出すことが夢です。香川ブランドのあんずでよりよい商品を開発していきたいですね。
パティスリー・スミダ 代表 住田 俊二氏
讃岐国分寺あんず事業振興会 会長 千田 隆久氏
パティスリー・スミダ
会社概要
所在地 | 高松市東山崎町184-13 |
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電話 | 087-840-7363 |
URL | https://www.patisseriesumida.org/ |
従業員数 | 3名 |
資本金 | 5,000千円 |
採択年度 | 平成24年度 |
讃岐国分寺あんず事業振興会
会社概要
所在地 | 高松市国分寺町国分920 |
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電話 | 087-874-1127 |
会員数 | 40名 |
採択年度 | 平成24年度 |